3D映画アバター(2009年)のヒット以後,今 3D(3次元)が花盛りだ. 3D は,今家庭用ゲームの世界で開花しようとしている. テレビゲーム大手任天堂が,3D 対応の新しい携帯型ゲーム機ニンテンドー3DSを,2011年2月26日(土)に発売する.
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携帯型ゲーム機ニンテンドー3DSは,3D の本命といわれている裸眼(専用3Dメガネなし)でも見れる技術を使っている. 価格は 25000円. ソフトを1本買えば3万円を超えてしまう. 25000円は,スーパーファミコンの発売時の価格ではあるが,携帯ゲーム機としてはかなり高めの価格だ. 正月のお年玉で買うにしても,子どもが買う物としてはかなり高すぎる.
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2010年9月29日の任天堂カンファレンス2010で,ニンテンドー3DSは正式に発表された. 直後,任天堂の株価が上がるどころか大きく下落してしまった. その発表の内容が,株式市場の期待を裏切ったからだ. 価格の設定の他に,クリスマス商戦正月商戦に間に合わなかったからだ. これに対して任天堂は,「新製品の完成度を高めて,十分な数量をそろえて発売することが望ましいと判断した」と説明している.
▼ネットで作られた,ニンテンドー3DSの予想CG.
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遅れた理由の詳細は発表されていないが,どうも通信機能(すれ違い通信)や不正コピー対策(マジコン対策)などのソフトウェアの開発の遅れと,シャープ製の視差バリア液晶パネルの生産が追いつかなかったらしいというのが大方な見方だ. シャープも,より儲かるスマートフォン向けの液晶パネルに製造ラインを向けているため,徹底的に価格をたたかれた任天堂向けの液晶パネルは,できる範囲で生産というところなのだろう. 今回使った液晶パネルは特殊なものなので,シャープ以外の部品メーカにはたのめない.
▼ネットで作られた,ニンテンドー3DSの予想CG.
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実は,任天堂3D(3次元)ゲーム機はこれが始めてではない...
1987年10月に発売された,ファミリーコンピュータ(ファミコン)の周辺機器の 3Dシステムスコープ(HVC-031)だ.
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ファミコン本体前面にある拡張コネクタに付属のアダプタを接続してスコープのケーブルをつななで利用する. もともとは,シャープが VHD(日本ビクターが開発したビデオディスク)用の機器として開発した 3Dシステム任天堂のゲーム機でも使えるようにしたものだ. スキーのゴーグルのようなスコープに液晶シャッターを組み込んで 3D映像を映し出したテレビを見るというものだ. シャープからも,ツインファミコン立体システムとして販売されたが,高価だったこと,完成度が低く目が疲れて連続1時間のプレイでさえできなかったことなどから,ヒットはしなかった.
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つぎに,任天堂が1995年7月に発売した3Dゲーム機がバーチャルボーイ(VUE-001)だ. スキーのゴーグルのようにはいかず,あまりにも重いスコープにはスタンドが付いていた.
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バーチャルボーイ内部には,224個の赤色LEDで映像を作っていたため,赤色モノクロ(4階調)しか映せなかった. ことなどから,わずか1年で消えてしまった.
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その後,パナソニック(松下電器産業)と共同開発し2001年9月に発売されたニンテンドーゲームキューブ(DOL-001)だが,このゲーム機にも,3Dディスプレイに対応の回路が組み込まれていた, だが,市場で受け入れられるような価格で3Dディスプレイ周辺機器が出せなかったことなどから,3D対応したゲームが出ることは無かった. 大半のユーザがプレイステーション2(PS2)に流れてしまっていたため,日本での総販売台数は404万台にとどまり,市場が成熟しなかったのも原因のひとつだった.
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それらの経緯を経て2011年2月26日に発売されたのが携帯型ゲーム機がニンテンドー3DS(CTR-001)だった. キャッチコピーは「メガネがいらない3DのDS」で,視差バリア方式ワイド3D液晶ディスプレイを採用しており,裸眼で立体的なゲーム映像を見ることができる. モーションセンサーとジャイロセンサーを内蔵しており,傾けたり動かしたりしてゲームをプレイすることもできる. また,本体外側に2つのカメラを搭載し,ステレオカメラとして立体的な写真を撮影することができる.
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ここ数年,携帯型ゲーム機は苦戦している. アップル社の iPhone やグーグル社のアンドロイドをベースにしたスマートフォンに市場を奪われているからだ. 携帯型ゲーム機から見れば,ほとんどが数年前のクソゲー(使い物にならないゲーム)といわれるようなものばかりではある. だが,通信機能が充実していることと無料ゲームで手軽に使えることなどから,これからも伸びていくと考えられる. ニンテンドー3DSも,これらのスマートフォンをかなり意識して設計されている.
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